親知らずの抜歯について
親知らずとは?
20代前後に生えてくる最も後ろの奥歯のことです。永久歯の中で一番遅くに生えてくる歯です。場合によっては30代以降に生えてくることもあります。
上顎の左右に2本、下顎の左右に2本、合計4本あります。
もともと、親知らずがない人や4本未満の人も個人差があります。
親知らずが腫れたり痛みが出る原因
親知らずは生えてくる方向が普通にまっすぐ生える場合、横向きに生える場合などさまざまな方向に生えるケースがあります。
他の歯と同じ方向に生える場合は、清掃も簡単で炎症や腫れが起こることは少ないです。
正常な生え方とは異なる場合、また歯みがきがしにくい場合などは、むし歯や歯周病になりやすい状態になります。それは、汚れがたまりやすく常に細菌に歯が侵されている状態になり「腫れ・痛み・骨の吸収」を伴います。
親知らずを抜くことによるメリット・デメリット
メリット
- むし歯や歯周病のリスク軽減
- 第二大臼歯(親知らずの手前の臼歯)の保全
- 歯列不正の予防
デメリット
- 他の歯が抜歯に至った場合、親知らずを移植歯として使用できない
- 入れ歯の土台として使用できなくなる可能性がある
歯列不正
感染
隣の歯との間にむし歯
親知らずを抜くリスク
下顎の場合…下顎の骨の中には口周りの感覚神経の束が走っており、親知らずが神経に近い程、神経を圧迫または損傷してしまうリスクがあります。
損傷してしまった場合、唇付近や舌にマヒが出る場合があります。
回復には数ヶ月~長期の経過をたどり回復していきます。
当院では、リスクを考えてまず診査・診断をしっかり行います。
歯科用CTを使用して神経との位置関係を三次元的に確認してから診断していきます。
上顎の場合のリスク
上顎には上顎洞という空洞があり、抜歯時の穴から稀に穿孔(穴があく)可能性があります。穴が塞がるまで口を膨らますことや鼻から水が漏れる可能性があります。
上顎の親知らずの抜歯
まっすぐ生えている場合…処置は短時間で術後の痛みや腫れはあまりありません。
横向きや埋まっている場合…歯ぐきを少し切り開き、歯・骨の削除を行い抜いていきます。
下顎の親知らずの抜歯
まっすぐ生えている場合…処置は短時間で術後の痛みや腫れはあまりありません。
横向きや埋まっている場合…歯ぐきを少し切り開き、歯・骨の削除を行い抜いていきます。
上顎とは違い、腫れや痛みを併発する可能性があります。
- 01 診査・診断
- 口腔内検査、歯周ポケット検査、エックス線検査、最新の歯科用CT(複雑な場合)などの画像検査を行います。検査の内容を詳細にご説明します。
特に複雑なケースはCT検査が必要になります。CTの画像をわかりやすく丁寧に説明していきます。検査の内容に関して、不安・心配事・ご質問などがありましたら随時にお答えします。当日は、歯の痛みや炎症の度合い・複雑なケースの場合、抜歯ができない場合があります。ご了承ください。
- 02 抜歯
- 医院では、先端の抜歯器具を設けておりますので、より安全に確実な抜歯を行うことができます。器具を豊富にとりそえておりますので歯の様々な生え方に対して抜歯器具を使い分けて臨機応変に対応できます。
- 03 消毒・抜歯
- 原則当院では翌日に来院していただき抜歯した穴の確認・消毒を行います。歯ぐきをさわった場合は、10~14日後に来院していただき糸取りを行います。※抜歯した穴が完全に塞がるまでは数ヶ月かかります。
注意事項
- 術後の痛み
- 麻酔が切れた当日がピークです。翌日からは基本的に痛みなどは引いてきます。2~3日たっても痛みが引かない場合はご連絡ください。当院で消毒・傷の程度を診察いたします。
- 腫れ
- 2~3日後に腫れが出てきます。その後1週間ほどかけて徐々に引いていきます。まれに内出血のあざが頬に出る場合がございますが、1週間から10日ほどで消えていきます。
歯牙移植について
親知らずが移植に
使える可能性があります
再生治療の1つでむし歯・歯の破折などで抜歯せざるおえない状態になった所に、健康な親知らず・生え方が異常などの理由で使用されていない歯を移植する方法です。
この方法は欠損した歯の前後の治療をせずに自分の天然の歯の機能を活かせるのが最大の特徴です。
移植される歯には骨を誘導する「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれる組織があり、安定した噛み合わせが得られるとともに、異物反応も起こりません。
一方で、歯周病で抜歯になるケースに移植する場合は、困難な場合が多いです。
また、歯が抜けてから時間がたつと改めて骨を大きく削って移植しなければならないことやいろいろな条件によって予後が左右されやすいなどの欠点もあります。
移植の条件
- 不必要な歯がないといけない
- 移植する歯ができるだけ健康な状態で保存されていること
- 移植する場所に十分な骨の枠があること(歯周病で骨がないケースは難しい)
- 患者様が比較的若い方であること(40歳前後まで)
移植のメリット
- 歯根膜というクッション材の組織も一緒に移植できるためインプラントより自分の歯と同じような感覚で噛むことができる
- 保険治療適用ケースがある
- 周囲の歯を治療することがないため自然な噛み合わせを得られる
- アレルギーがなく生体に優しい
移植のデメリット
- 技術的に難しく予後が不安定
- 健康な歯(親知らず)が必要
- 治療できる条件が限られる(年齢が若い程良い)
- 外科手術が必要
- 高齢であると治療の成功率が低下する可能性がある
- 最後の被せ物が入るまで期間が3~6ヶ月かかる
治療の流れ
- 01 検査
- 術前にCTを撮影し移植歯の根の形・大きさなどを三次元的に確認し、移植場所の骨の状態を検査します。下顎の親知らずの抜歯をする場合は神経との位置関係なども含めて詳細に確認します。
- 02 抜歯・移植
- 保存不可能な歯を抜歯すると同時に移植歯を抜歯・移植します。(場合によっては移植場所の骨を整形します)移植後は、接着剤やワイヤーを用いて固定を行います(約3~6週間前後)移植した歯の神経は再生しないため神経の治療が必要になります。(移植後2週間~開始)根の治療が終わり、固定を外して問題なければ被せ物の治療に入ります。被せ物は、金属からセラミックまで自由に選択可能です。
- 03 移植後の注意事項
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- 術後1週間まで
- 移植した歯の周りは歯ブラシ禁止、強いうがいも禁止。うがいは軽く口に含む程度食事も反対の歯で噛むようにします。
- 術後2~4週間
- やわらかい歯ブラシ、口腔内洗浄液(うがい薬)で清掃する。どちらも当院で販売しております。
- 術後1ヶ月~
- 普通の歯ブラシで清掃可能(歯科医師の判断のもと使用可能)
唾液について
唾液の働きをご存じですか
唾液の働きとして挙げられるのは、歯ぐきや舌などの粘膜を保護して、傷つかないようにする「潤滑作用」です。食べたりしゃべったりするのをスムーズにしている働きです。
また、食べ物に含まれるでんぷんを糖に変える「消化作用」もよく知られており、ご飯をよく噛むと甘くなるのはこのためです。
さらに、「怪我したら唾液をつけておけば治る」と言われるのも、唾液には「抗菌作用」があるからです。
また、食べかすを洗い流してお口に残るのを防ぐ「洗浄作用」や、お口の酸性度(ph)を正常に保って歯が溶けるのを防ぐ「緩衝作用」、細菌をお口の中から排出する作用など、むし歯や歯周病から歯を守る働きがたくさんあります。
また、唾液内の糖タンパクにより歯の表面に形成されるペリクルは、歯を保護します。
さらに、ペリクルはお口の中の粘膜を修復する成分を含んでおり、傷を治す作用もあります。
唾液の減少による影響
唾液の量が減るとお口の乾燥やねばつき、話しづらさ、乾いた食べ物の噛みづらさなどを感じます。とはいえ、自分のお口の中が乾燥状態にあるかどうかは、いまいちよくわかりません。図に示すような異変がある場合は口腔乾燥のサインです。
これらを日常生活で感じるようであれば専門医を受診することをお勧めします。
また唾液の量が減ると、お口の洗浄作用が少なくなり、いつまでたっても食べ物がお口の中に溜まってしまいます。また、飲食物によって下がった㏗値がなかなか元に戻らず、歯の表面のカルシウムが溶けだす「エナメル質の脱灰」が進んでしまいます。さらに、唾液に含まれる抗菌物質やタンパク質の減少、歯を保護するペリクルも形成されにくくなることでお口の中が菌に弱い環境になってしまいます。
唾液の減少は様々な作用が弱まるためむし歯や歯周病のリスクが高くなるのです。
口腔乾燥のサイン
食べ物が食べられない
起きてしまう
唾液が減少しやすい人
更年期の女性
唾液の減少は更年期に集中しています。女性は、45~55歳頃に女性ホルモンが低下するため閉経し、更年期を迎えます。この女性ホルモンの低下が口腔乾燥症と関連していると言われています。口腔乾燥、味覚障害、舌痛、顎関節通などの訴えが多いという結果が出ています。
慢性疾患や服薬が多い高齢者
高齢者になると、高血圧、脂質異常症、頻尿などさまざまな病気を抱える方が増えます。それらの治療薬の副作用や糖尿病甲状腺疾患などそのものによって口の渇き(口喝)が引き起こされるためお口の乾燥を訴える患者様も多くなります。
ストレスを抱えている人
近年は、若年層にもストレスからの心理的な影響により増えてきています。
お口の乾燥やヒリヒリ感などの口腔乾燥にお困りの方、相談や不安・心配などございましたらkuniデンタルクリニックへお気軽にご相談ください。