親知らずが移植に
使える可能性があります
再生治療の1つでむし歯・歯の破折などで抜歯せざるおえない状態になった所に、健康な親知らず・生え方が異常などの理由で使用されていない歯を移植する方法です。
この方法は欠損した歯の前後の治療をせずに自分の天然の歯の機能を活かせるのが最大の特徴です。
移植される歯には骨を誘導する「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれる組織があり、安定した噛み合わせが得られるとともに、異物反応も起こりません。
一方で、歯周病で抜歯になるケースに移植する場合は、困難な場合が多いです。
また、歯が抜けてから時間がたつと改めて骨を大きく削って移植しなければならないことやいろいろな条件によって予後が左右されやすいなどの欠点もあります。
移植の条件
- 不必要な歯がないといけない
- 移植する歯ができるだけ健康な状態で保存されていること
- 移植する場所に十分な骨の枠があること(歯周病で骨がないケースは難しい)
- 患者様が比較的若い方であること(40歳前後まで)
移植のメリット
- 歯根膜というクッション材の組織も一緒に移植できるためインプラントより自分の歯と同じような感覚で噛むことができる
- 保険治療適用ケースがある
- 周囲の歯を治療することがないため自然な噛み合わせを得られる
- アレルギーがなく生体に優しい
移植のデメリット
- 技術的に難しく予後が不安定
- 健康な歯(親知らず)が必要
- 治療できる条件が限られる(年齢が若い程良い)
- 外科手術が必要
- 高齢であると治療の成功率が低下する可能性がある
- 最後の被せ物が入るまで期間が3~6ヶ月かかる
治療の流れ
- 01 検査
- 術前にCTを撮影し移植歯の根の形・大きさなどを三次元的に確認し、移植場所の骨の状態を検査します。下顎の親知らずの抜歯をする場合は神経との位置関係なども含めて詳細に確認します。
- 02 抜歯・移植
- 保存不可能な歯を抜歯すると同時に移植歯を抜歯・移植します。(場合によっては移植場所の骨を整形します)移植後は、接着剤やワイヤーを用いて固定を行います(約3~6週間前後)移植した歯の神経は再生しないため神経の治療が必要になります。(移植後2週間~開始)根の治療が終わり、固定を外して問題なければ被せ物の治療に入ります。被せ物は、金属からセラミックまで自由に選択可能です。
- 03 移植後の注意事項
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- 術後1週間まで
- 移植した歯の周りは歯ブラシ禁止、強いうがいも禁止。うがいは軽く口に含む程度食事も反対の歯で噛むようにします。
- 術後2~4週間
- やわらかい歯ブラシ、口腔内洗浄液(うがい薬)で清掃する。どちらも当院で販売しております。
- 術後1ヶ月~
- 普通の歯ブラシで清掃可能(歯科医師の判断のもと使用可能)